ASEAN主要7カ国の食品製造業の規模を、国連工業開発機関(UNIDO)の付加価値額データで比較しました。インドネシアが世界4位(約7.4兆円)、タイが世界14位(約4兆円)です。

「タイの食品市場はどれくらい大きいのか」「インドネシアとベトナムではどちらが食品産業の規模が大きいのか」

海外進出を検討する食品メーカーからよく聞かれる質問です。この記事では、国連の統計データで客観的に比較してみます。

UNIDOの産業統計データベース INDSTAT
UNIDOの産業統計データベース INDSTAT

ASEAN食品製造業の付加価値額ランキング

インドネシアはASEAN最大、世界でも4位の食品製造大国です。タイは14位で約4兆円規模。ベトナムが急成長しています。

順位食品製造VA(億ドル)円換算(億円)製造業に占める食品の比率データ年世界順位
1インドネシア49373,90022.9%20214位
2タイ26740,00016.2%202114位
3ベトナム11817,70010.7%202323位
4マレーシア8112,20011.0%202026位
5フィリピン6710,10021.4%202230位
6シンガポール233,500202344位
7ラオス23002015

円換算は1ドル=150円で概算しています。カンボジア・ミャンマーはUNIDOにデータ未報告です。

日本は世界2位、インドネシアは4位

日本の食品製造業は世界2位(約11.7兆円)。ASEANトップのインドネシア(7.4兆円)は日本の約6割の規模にあたります。

順位食品製造VA(億ドル)円換算(億円)
1アメリカ3,403510,500
2日本778116,700
3ドイツ51076,500
4インドネシア49373,900
5ブラジル46870,200
6フランス42864,200
7カナダ37656,400
8イラン36955,400
9イギリス33650,300
10メキシコ32949,300

中国はUNIDOにデータ未報告です。中国国家統計局のデータから推定すると世界2〜3位(約80兆円)と見られます。

インドネシアが世界4位になる理由

「付加価値額」とは、生産額から原材料費を引いた値です。その国の食品製造業が生み出した「正味の経済価値」を示します。

インドネシアの食品製造業が世界4位なのは、2.7億人の国内消費に加え、パーム油・水産加工品の輸出が巨大なためです。

タイは人口7,000万人ですが、CPフーズ(世界最大の鶏肉輸出企業)やタイユニオン(世界最大のツナ缶企業)など、輸出型の食品大手が集積しています。

フィリピンは絶対額は小さいものの、製造業の21.4%が食品です。食品産業への依存度が高い国といえます。

ベトナムは2023年データで118億ドル。近年の伸びが著しく、2025年にはマレーシアを抜いた可能性があります。

UNIDOデータを使うときの注意点

UNIDOのデータは各国の報告ベースのため、年次にばらつきがあります(2020〜2023年混在)。中国・カンボジア・ミャンマーは未報告です。

中国はUNIDOに独自の産業分類(GB/T)を使用しており、ISIC分類のデータを提出していません。

カンボジア・ミャンマーは統計整備が追いついていないため、未報告です。

インドの数値(世界16位・約3兆円)は、零細・未組織部門が統計に捕捉されにくいため、実態より小さく出ている点に注意が必要です。

【出典】

調査者について

木下隆志 — 株式会社タイトンマイ代表

  • 大阪大学大学院修了
  • シャープ株式会社の調達部門に8年間勤務
  • うち2年間はタイ工場に駐在、調達課長として現地スタッフのマネジメントを担当
  • 日本人管理職は自分一人の環境で、英語・タイ語での調達実務を経験
  • 独立後、80カ国以上・10,000社以上の企業調査を実施

https://taitonmai.co.jp/knowledge/20260215_01.html

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