2025年、世界で売れた電気自動車(EV)は2,070万台。5年前の約7倍です。

この記事では、IEA(国際エネルギー機関)の公式データと各社IR資料をもとに、世界のEV販売データを国別・メーカー別・車種別に整理してみました。

本記事の「EV」はバッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計、乗用車が対象です。 燃料電池車(FCEV)は含みません。特に断りのない限り、データの出典はIEA(国際エネルギー機関)「Global EV Data Explorer」です。

目次

  1. 世界における電気自動車(EV)販売台数の推移
  2. 電気自動車(EV)国別販売台数ランキング
  3. 電動化比率ランキング
  4. メーカー別販売ランキング
  5. 上位メーカー13社の特徴
  6. 世界で最も売れたEV車種は何か
  7. 中国で売れたEV車種 Top10
  8. 米国で売れたEV車種 Top10
  9. 用語の定義(BEV / PHEV / NEV)
  10. データソースについての注意

世界における電気自動車(EV)販売台数の推移

2025年の世界EV販売台数は2,070万台(Rho Motion速報値)。2010年の7,450台から15年で約2,800倍に成長しました。

特に2021年以降は毎年30%以上の成長が続いています。2019-2020年の踊り場を経て、補助金政策と中国メーカーの量産効果で一気に拡大した形です。

IEAの現行政策ベース予測(STEPSシナリオ)では、2030年にEV販売4,000万台、新車シェア42%と見込まれています。

世界EV販売台数の推移(2010-2025年)

IEA Global EV Data Explorer、2025年はRho Motion速報値

販売台数(BEV+PHEV)前年比EVシェア
20100.7万台0.01%
20115万台+558%0.07%
201212万台+141%0.18%
201320万台+70%0.29%
201433万台+64%0.44%
201552万台+58%0.68%
201678万台+50%0.96%
2017120万台+54%1.5%
2018205万台+71%2.5%
2019208万台+1%2.7%
2020297万台+43%4.4%
2021660万台+122%9.3%
20221,020万台+55%15%
20231,370万台+34%18%
20241,750万台+28%22%
20252,070万台(速報)+18%

電気自動車(EV)国別販売台数ランキング(2024年)

世界のEV販売1,750万台のうち、中国が1,130万台(65%)で圧倒的首位です。

上位5カ国(中国・米国・独・英・仏)だけで世界の82%を占めており、EV市場は一部の国に極端に集中しています。

2位の米国(152万台)でも中国の7分の1に過ぎません。日本は17位(10万台)で、世界の自動車大国でありながらEV販売では存在感が薄い状況です。

国別EV販売台数ランキング上位10カ国(2024年)

IEA Global EV Data Explorer、カッコ内はシェア

順位販売台数世界シェア
1位中国1,130万台64.6%
2位米国152万台8.7%
3位ドイツ57万台3.3%
4位英国55万台3.1%
5位フランス45万台2.6%
6位カナダ25万台1.4%
7位ベルギー20万台1.1%
8位オランダ18万台1.0%
9位スウェーデン16万台0.9%
10位スペイン13万台0.7%
11位韓国13万台0.7%
12位ブラジル13万台0.7%
13位イタリア12万台0.7%
14位ノルウェー11万台0.6%
15位オーストラリア11万台0.6%
16位トルコ11万台0.6%
17位日本10万台0.6%
18位デンマーク10万台0.5%
19位インド9万台0.5%
20位タイ8万台0.5%
21位イスラエル8万台0.4%
その他104万台6.0%
世界合計1,750万台100%

電動化比率ランキング(2024年)

電動化比率の上位は北欧諸国が独占しています。1位ノルウェー(92%)、2位スウェーデン(58%)、3位デンマーク(56%)、4位フィンランド(50%)。

いずれも人口1,000万人以下の小国で、購入税免除やVAT減免といった優遇策を長期間維持できたことが背景にあります。

同じ欧州でもフランス(24%)やドイツ(19%)は北欧ほど高くありません。大規模市場では電動化のスピードが鈍る傾向があり、米国は10%、日本は3%にとどまります。

例外は中国(48%)で、1,130万台という圧倒的な台数と高い電動化比率を両立する唯一の大国です。背景には、10年以上にわたる購入税免除やNEVクレジット制度(2025年は生産台数の38%をNEVにする義務)といった国策、世界のバッテリー生産能力の85%を握るサプライチェーン、そして販売されるEVの3分の2がガソリン車より安いという価格構造があります。

主要国のEV販売台数 × 電動化比率マトリックス(2024年)
↗ 量も率も高い↖ 率は高いが量は少ない↘ 量は多いが率は低い↙ 量も率も低い

IEA Global EV Data Explorer。点線は世界平均(電動化率22%)と50万台ライン

順位電動化比率販売台数
1位ノルウェー92%11万台
2位スウェーデン58%16万台
3位デンマーク56%10万台
4位フィンランド50%4万台
5位中国48%1,130万台
6位オランダ48%18万台
7位ベルギー43%20万台
8位アイスランド42%0.4万台
9位ルクセンブルク36%2万台
10位ポルトガル33%7万台
11位スイス28%7万台
12位英国28%55万台
13位アイルランド25%3万台
14位オーストリア24%6万台
15位フランス24%45万台
参考(17位)ドイツ19%57万台
参考(18位)カナダ17%25万台
参考(22位)タイ13%8万台
参考(31位)米国10%152万台
参考(33位)韓国9%13万台
参考(49位)日本3%10万台

メーカー別販売ランキング(2025年)

BYDが460万台で世界首位、テスラの2.8倍。上位13社のうち8社が中国メーカーです。

世界EV販売2,070万台のうち上位13社で約1,553万台(75%)を占めます。

BYDは台数世界一ながら中国国内では前年比約8%減と初の減速を見せており、成長エンジンは海外販売(105万台、前年比+151%)に移っています。

テスラはBEV(164万台)でもBYD(BEV 226万台)に抜かれ、BEV+PHEV合計では吉利にも逆転されました。吉利はZeekrとGalaxyの二刀流で前年比+90%の急成長。小米はスマホメーカーから参入し初年度で41万台を達成しています。

欧州勢ではVWがBEV+PHEV合計で+39%と健闘する一方、テスラ以外の米国メーカーはTop13に入っていません。

メーカー別グローバルEV販売台数ランキング(2025年)

各社IR資料・HKEX公告(2025年通年、BEV+PHEV)

順位メーカー販売台数世界シェア前年比
1位BYD中国460万台22.2%+8%
2位吉利中国169万台8.2%+90%
3位テスラ米国164万台7.9%-9%
4位VWグループドイツ141万台6.8%+39%
5位長安中国111万台5.4%+51%
6位SGMW中国100万台4.8%+32%
7位奇瑞中国90万台4.4%+55%
8位BMWドイツ64万台3.1%+8%
9位零跑中国60万台2.9%+103%
10位HIMA(華為系)中国59万台2.8%+32%
11位現代-起亜韓国57万台2.8%+18%
12位小米中国41万台2.0%初年度
13位メルセデスドイツ37万台1.8%±0%

各社の販売データ出典 - BYD・吉利: HKEX公告(2026-01-01)、テスラ: Tesla IR、VW: VWグループ プレスリリース、BMW: BMW Group Sales Report、現代-起亜: Hyundai Motor IR、メルセデス: Mercedes-Benz Group News


上位メーカーはどこが強いのか — 13社の特徴

上位13社のうち8社が中国メーカー。VW・BMWが健闘するものの、テスラ以外の欧米勢はTop10から脱落しています。

各社の主力ブランドと強みを整理しました。

順位メーカー主力ブランド/車種特徴
1位BYD中国Seal, Dolphin, Seagullバッテリーから車両まで垂直統合。海外輸出が急拡大中
2位吉利中国Zeekr, Galaxyボルボ親会社。Zeekr(高級)とGalaxy(大衆)の二刀流
3位テスラ米国Model Y, Model 3FSD(自動運転)と独自充電網が強み。2025年は販売減
4位VWグループドイツID.シリーズ, Cupra欧州最大のEVメーカー。BEV+PHEV合計+39%成長
5位長安中国Deepal, Avatr国有メーカー。ファーウェイと協業、海外出荷63.7万台
6位SGMW中国宏光MINI EV, Bingo超低価格EVが主力。NEV年間100万台を初突破
7位奇瑞中国iCAR中国メーカー中で海外輸出が最も積極的。輸出134万台
8位BMWドイツiX, i4, iX1電動車比率26%。iX・i4・iX1が主力
9位零跑中国C10, C16Stellantisと欧州販売提携。前年比+103%の急成長
10位HIMA中国問界, 智界華為(ファーウェイ)主導。5ブランド展開、平均単価39万元
11位現代-起亜韓国IONIQ 5, EV6800V超急速充電が差別化要因。グループBEV約51万台
12位小米中国SU7スマホから参入。SU7が初年度41万台で即黒字
13位メルセデスドイツEQS, EQEBEV-9%だがPHEVで補完。xEV合計37万台で横ばい

各社IR資料・プレスリリースおよび前節の出典に基づく。


世界で最も売れたEV車種は何か(2025年)

世界で最も売れたEVはテスラ Model Y(109万台)。ただしTop10のうち8モデルは中国メーカーで、欧州メーカーの車種は圏外に落ちました。

2024年にはTop10入りしていたVW ID.3が消え、テスラ以外はすべて中国メーカーという構図です。以下はBEV(バッテリーのみで走るEV)の集計です。

世界BEV販売台数 Top10(2025年)

Autovista24 / EV Volumes(BEVのみ)

順位モデル販売台数前年比特徴
1位テスラ Model Y109万台-8%SUV型BEV、世界で最も売れたEV
2位テスラ Model 350万台-6%テスラの普及価格セダン
3位吉利 銀河星愿47万台+800%約9,260ドル~の低価格ハッチバック
4位五菱 宏光MINI EV43万台+65%約50万円の超小型EV
5位BYD Seagull41万台-13%約150万円の小型EV
6位小米 SU726万台初年度スマホメーカー初のEVスポーツセダン
7位BYD Yuan Up25万台+84%BYDのコンパクトSUV
8位BYD Dolphin23万台+5%BYDの小型ハッチバック、海外展開中
9位BYD Yuan Plus23万台-34%海外名ATTO 3
10位小鵬 MONA M0318万台+265%AIスマートセダン、15万元台

BEVのみの集計。出典 - Autovista24 / EV Volumes「Best-selling BEVs and PHEVs of 2025


中国で売れたEV車種 Top10(2025年)

1位は吉利 銀河星愿(47万台)。5万元台(約100万円)の超小型EVが上位を占めます。

銀河星愿は2024年10月の発売からわずか1年余りで47万台を達成しました。外資ブランドでTop3に入ったのはテスラ Model Yのみです。以下はNEV(BEV+PHEVの合計、中国の分類)の集計です。

中国市場 NEV販売台数 Top10(2025年)

CPCA/易車 → CarNewsChina(NEV、小売ベース)

順位モデル販売台数特徴
1位吉利 銀河星愿47万台約9,260ドル~の純電ハッチバック
2位五菱 宏光MINI EV44万台約50万円の超小型EV
3位テスラ Model Y43万台外資ブランド唯一のTop3
4位BYD 秦PLUS39万台セダン(PHEV主体)
5位BYD Seagull31万台約150万円の小型EV
6位BYD 秦L27万台セダン
7位小米 SU726万台発売初年度で即黒字
8位BYD Seal 0622万台セダン
9位テスラ Model 320万台セダン
10位BYD Song Plus20万台SUV

小売ベース。出典 - CarNewsChina / CPCA「2025 best-selling NEV ranking in China」2026年1月17日。


米国で売れたEV車種 Top10(2025年)

テスラが1-2位を維持するも、合計シェアは46%に低下(2020年は79%)。中国メーカーの車種はゼロです。

100%の関税が事実上の参入障壁になっています。中国では約100万円のEVが売れ、米国では最安のEquinox EVでも約500万円。同じ「EV市場」でも価格帯がまったく異なる2つの世界が並行しています。以下はBEV(バッテリーのみで走るEV)の集計です。

米国市場 BEV販売台数 Top10(2025年)

Cox Automotive / KBB(BEVのみ)

順位モデル販売台数前年比特徴
1位テスラ Model Y36万台-4%米国EV市場シェア28%
2位テスラ Model 319万台+1%テスラの普及価格セダン
3位シボレー Equinox EV6万台+101%約3.4万ドル~、GM初の量販価格帯EV
4位フォード Mustang Mach-E5万台±0%フォードのSUV型BEV
5位現代 IONIQ 55万台+6%800V超急速充電対応
6位ホンダ Prologue4万台+19%GM Ultiumベース、日本勢唯一のTop10
7位フォード F-150 Lightning3万台-19%EV版ピックアップ
8位リビアン R1S3万台-8%EVスタートアップの3列SUV
9位シボレー Blazer EV2万台-2%GM第2のEV SUV
10位VW ID.42万台+31%欧州メーカー唯一のTop10

出典 - Cox Automotive / KBB「EV Sales Report Q4 2025」2026年1月。

用語の定義(BEV / PHEV / NEV)

本記事では複数の略語が登場します。国や統計機関によって集計対象が異なるため、定義を整理しておきます。

略語正式名称意味
BEVBattery Electric Vehicleバッテリー式電気自動車。エンジンを持たず、バッテリーとモーターのみで走行
PHEVPlug-in Hybrid Electric Vehicleプラグインハイブリッド車。外部充電できるバッテリーとエンジンの両方を搭載
NEVNew Energy Vehicle(新能源汽車)中国政府の分類で、BEV + PHEV + FCEVの総称
FCEVFuel Cell Electric Vehicle燃料電池車。水素から発電して走行
xEV電動車の総称。BEV・PHEV・HEVなどを含む(メーカーにより定義が異なる)

IEA「Global EV Outlook 2025」の定義に準拠。本記事の「EV」は原則としてBEV + PHEVを指します。


データソースについての注意

本記事では複数のデータソースを使用しています。ソースによって集計対象が異なるため、数値の比較には注意が必要です。

ソース対象車種パワートレイン集計基準
IEA Data Explorer乗用車BEV+PHEV販売台数
Rho Motion乗用車+軽商用車BEV+PHEV販売台数
CAAM(中汽協)全車種(商用車含む)NEV(BEV+PHEV+FCEV)卸売
CPCA(乘聯会)乗用車のみNEV小売
Cox / KBB乗用車+ライトトラックBEV中心販売台数
Autovista24 / EV Volumes乗用車BEV, PHEV別集計販売台数

特に中国データは、CAAM(中国汽車工業協会)(1,649万台、卸売)とCPCA(乗用車市場情報聯席会)(1,281万台、小売)で約370万台の差があります。差分は商用車・在庫変動・輸出分です。


出典一覧